
10年固定のリスクとは
住宅ローンは何種類あるのでしょうか。本当にたくさんの種類があるのでお客様も迷うと思うのですが不思議なことに『どうしたらいいでしょうか』とは相談されません。
住宅ローン相談にもいろいろありますが弊社の場合は大きく2つに分かれています。1つは変動金利、もう1つはフラット35です。多くの人は支払い金額が安いことから変動金利です。その反対に金利変動が怖い方はフラット35です。
当然変動でもフラット35でもない10年固定を考えている方もいるでしょう。では10年固定を考える上で注意することはなんでしょうか。今日はその点を考えて見ます。
まず住宅ローンの10年固定とはどんな商品だか知っていますか。固定金利ですよねと言われることもありますがベースは変動金利です。その変動金利に10年間金利を固定し、10年後にまた固定を選ぶか、なにもしなければ変動金利になるという商品です。
金利は当然変動金利よりは高くなっています。利点と欠点は以下のことです。利点は10年間金利が変わらないことです。欠点は10年後にそのときの金利が採用されるので上がる可能性があることと10年後に金利が大幅に上昇していた場合のことです。
利点 10年間金利が上がらない
欠点 1.25倍ルールがない 変動金利より金利が高いこと
変動金利ではある銀行を除いては大幅な金利上昇があった場合1.25倍ルールがあります。例えば月に10万円支払っている方でしたら5年後に大幅な金利上昇を受けても10万円の1.25倍の12万5千円までしか支払額が上がらないというものです。
しかし10年固定にはこの1.25倍ルールがありません。つまり10年後の金利が大幅アップした場合、そうなのです。金利上昇が怖いので変動金利ではなく10年固定にしたのに皮肉にももっと支払いが変動金利のときより上がる可能性が存在します。
以上が商品の特性からみた利点と欠点です。これはネットで調べればいくらで出てきますのであくまでの情報です。弊社は情報をお客様目線を考慮したインテリジェンスを提供することを生業としています。
10年固定を使ってはいけない方とは
この住宅ローンの10年固定という商品はお客様によっては使った方がいい場合と使わないほうが言い方がいると考えています。
使っても言い方は当然10年間は教育費があるので支払額が上がって欲しくない方です。もっと簡単に言えば10年間で教育費が終わる家計の方です。教育費が終われば家計に多少余裕が出てきます。反対に言えばそれだけ教育費が家計にとって重たいということです。
では家計を考えた場合10年固定を使わないほうがいいと思う場合とはどんな場合でしょうか。
公務員の下田さん(仮名)のケースを使って考えてみます。
下田さんは奥様と同級生で35歳です。お子様は2人で長男は8歳(小学校2年生)、長女は6歳で来年小学校入学が控えています。そろそろランドセル選びにウキウキしているところでしょうか。それを表にしたので下の図です。
住宅購入をすることになり変動金利は金利上昇がある。フラットはすこし金利が高いということで10年固定を検討しています。そこで10年間の出来事を考えてみました。
結論から言えば10年固定はやめたほうがいいです。理由は10年後に家計が大変厳しくなる可能性が高いからです。そのことを少し考えて見ます。
やめたほうがいい理由は以下です。
1、10年後にお子様の教育費が必要な時期であること 2、10年後に住宅ローンの金利上昇により支払額が上がる可能性があること。 3、住宅ローン控除が終わり所得税と住民税がかかり収入に影響があること
そうです。10年後に教育費が多額にかかり、住宅ローンの支払が上がり、ローン減税もなくなり、そしてもし保険で10年更新の定期保険付終身保険に加入していた場合それすら上がるという4重苦を抱える可能性が高いためです。
家計を預かっている主婦の方であれば月に3万も4万円も支払が増える可能性があるということがどれだけキツイかすぐにわかるのではないでしょうか。主にこの3つの理由があるので教育費が10年間に終わるかた以外は10年固定をお勧めしていないのです。
特に住宅ローン控除が終わり所得税、住民税の源泉徴収額が上がるつまり会社からの給料の振込み額が大幅に減るのは教育費上昇もあるので節約の範囲を超えるのではないでしょうか。
このように考えていくと住宅ローンの10年固定を検討する場合は、先ずこのようなイベント表を作ってみること、そして10年後にお子様の進学がどうなのか、住宅ローン減税がなくなるのがどのくらい影響があるのかを考えることが大事なのではないでしょうか。
よく雑誌などで変動金利はやめたほうがいいと書かれたあとで10年固定がお勧めなんてことが書いてあったりします。個人的には10年固定の方がお客様によってはよっぽど怖いのではないかと考えますし、変動金利のほうがよっぽどリスクが低いかもしれないです。
住宅ローンの選択とその次の銀行選びは未来のあなたの家計を大きく左右することが理解できるのではないでしょうか。銀行ではここまであなたの家計のことを考えてくれません。
これでもまだ銀行に相談しますか?
住宅ローン選びではなにも考えずに銀行に行く前に住宅ローンだけでなく教育費や税金、団体信用保険を加味した生命保険の考慮などをトータルで考えることが必要なのではないでしょうか。
少なくとも本日ご相談に見えた下田さんの奥様は大きくうなずいていました。あなたはどのように感じましたでしょうか。わたしはお客様には賢い住宅購入をして欲しいと心より思うしだいです。