
固定金利か変動金利か
あなたは変動金利派ですか、それとも固定金利派でしょうか。面白いことに私のところに住宅ローンの相談に来られる方は変動金利がいいか、固定金利がいいかという質問はほとんどありません。
ではどんな質問が多いのかといえばどこの銀行がいいのかという住宅ローン選びが中心となっています。もし今あなたが住宅ローン選びで変動金利か固定金利かで悩んでいる場合どう考えたらいいのか、その考え方についてFP永野の見解を書いてみます。
結論から言えば合理的に考える方は変動金利を使ったほうがいいし、安心感を重視するなら固定金利がいいのではないでしょうか。
変動金利と固定金利の支払額の差
変動金利の利点は何と言っても固定金利より支払額が安いことです。ではどのくらい安いのでしょうか。
例)3000万円 35年払い 頭金400万円
フラット35・・・金利1.55%(平成27年11月現在)
変動金利 ・・・金利0.775%
フラット35 月92,592円 変動金利 月81,576円 (差 11,016円)
現状では月の支払額が約11000円ありますが、金利がどのくらい上がったら追いつくのでしょうか。
仮に5年後に0.5%上がったとするとどうでしょうか。変動金利の月の支払額は87606円と上昇します。それでもまだ約5000円くらい変動金利の方が月の支払額が少ないのがわかります。ではもう少し上昇させてみます。
さらに5年後、つまり購入してから10年後にさらに0.5%金利が上昇し当初より合計1%あがったらどうでしょうか。月の支払額は87606円から92900円と5294円高くなります。10年でようやくフラット35の月の支払額に追いつくのです。
つまり変動金利か固定金利かを考える上で大事なのはあなたが金利上昇をどう描いているのかで決まるということです。毎年上昇、もしくは急上昇すると考えているのであれば固定金利がいいでしょうし、金利はあまり上昇しないか上昇するが急上昇はしないと考えているのであれば変動金利のほうが得ではないかとなりそうです。
ではもし変動金利で住宅を購入して金利が急上昇した場合どうすればいいのでしょうか。
変動金利が上昇するということは
このグラフは金利の推移を示しています。ここ10年以上金利が大幅に上昇していないことがわかります。
ここで見ていただきたいのは金利が高いときはいつだったでしょうか。そうです、バブル経済の時です。あの好景気に日本列島がわいていたバブルのころです。
当時、わたしは大学生でしたが六本木から夜中に帰宅するのにタクシーがつかまらず我先にと1台のタクシーを奪い合った今では考えられない頃のはなしです。本当にその時にもどるのでしょうか。金利上昇と景気がよくなるとは相関関係があるといってもいいのではないでしょうか
では金利が高くなる、景気が良くなる時はなにが起こるのでしょうか
景気が良くなるということは
1990年を頂点に日本はバブル崩壊後の失われた20年と言われた不景気を味わってきた。そのころの金利は今の0.02%などではない。景気が良くなる=金利が上昇=株価上昇となっています。
ではそれを踏まえてもし緩やかな金利上昇を予想して変動金利で住宅ローンを組んだが意に反して急上昇してしまったときはどうしたらいいのでしょうか。
先ほどの変動金利とフラット35の月の支払額の差は約11000円でした。それを株式投資信託に投資したらどうでしょうか。仮に金利急上昇なので10%の利回りで運用できれば10年後は191万円となり約71万円の利息が着いたことになります。
住宅ローン=元本×金利×時間
この191万円で一部繰上返済をしていけば元本が少なくなりますので上の式を考えると金利上昇の影響が少なくなります。もちろん金利が低いうちに支払っていればその間も元本が減っているはずなのでどんどん金利上昇の影響がうけにくくなります。
それでも運用はちょっとという方はやはりフラット35で住宅ローンをお考えになるほうがいいのではないでしょうか。そう考えると論理的思考の持ち主は変動金利で感情的思考の方はフラット35でという結論が導き出されます。
あなた自身は論理的思考タイプですか?それとも不安や好き嫌いを先行させるタイプですか。それが変動金利か固定金利かを決めるのではないでしょうか。