
つなぎ融資が無いネット銀行は使えないって本当?
「ハウスメーカーの方からつなぎ融資が無いので、ネット銀行住宅ローンは使えないと言われました。私たちはネット銀行の住宅ローンが使えないのでしょうか?」
これはよくいただく質問のひとつです。マイホーム計画が始まると、住宅ローンに関する記事もスマホで調べられる方が増えます。住宅ローンの比較サイトを見てみると、上位に並んでいるのはほとんどがネット銀行の住宅ローン。魅力的な低金利の住宅ローンが並んでおりますので、興味を持つ方が多いのは当然のことです。
最近のランキング1位は、auじぶん銀行。ホームページを見てみると、最低金利0.289%の文字に目を奪われます。年収700万円以上の方であっても、肥後銀行は0.625%、熊本銀行の場合は期間限定ですが0.475%。年収条件がなく、これだけの低金利で貸し出しを行ってくれるのであれば、使ってみたいと思われる方は多いはず。
金利だけは大きく表示されているのでわかりやすいのですが、金融機関のホームページは小さい文字が多いもの。全てを見て理解するのは、初めてマイホームを建てられるあなたにとってはとても面倒な作業。今回のお客様も記事全てを見るのが面倒で、ハウスメーカーの営業マンへどうやったらauじぶん銀行の住宅ローンが使えるかを質問されました。
しかし、ネット銀行はつなぎ融資が無いので使えませんとの言われてしまいます。これは本当のことで、ネット銀行にはつなぎ融資の取り扱いがない銀行が数多くあります。ただし、つなぎ融資を専門で取り扱っている金融機関があり、そこを利用すればネット銀行住宅ローンを使うことは可能です。
ただし、その手続きは面倒なことが多いのも事実です。今回のお客様のように断られるケースが多いのは、その手続きが面倒だからかも知れません。
ただ、つなぎ融資は住宅ローンを借りるうえで重要な仕組みの一つです。本日はネット銀行住宅ローンを利用するために必要な、つなぎ融資を使ううえで最低限知っておかなければならないことを説明いたします。
①つなぎ融資が無ければ建物を建てることが難しい
つなぎ融資を簡単に説明しますと、住宅ローンの融資実行されるまでの資金を、一時的に貸し出すためのローンです。住宅ローンの融資実行タイミングは、各金融機関によって異なります。
下の図のように、基本的にはマイホームが完成してから融資実行が始まり、ほとんどの金融機関がこのタイプとなっております。
家を建てるには莫大なお金と長い時間が必要です。建てる側の立場になった時、建物が完成するまでに全ての費用を先払いし、代金が後からしか受け取れないのはリスクを伴うもの。そこを解消しているのがつなぎ融資です。つなぎ融資があれば、ハウスメーカーも安心して建築費用を受け取ることが出来ます。
土地の代金に関しても同じです。土地から購入する場合は、土地の所有者を売る方から家を建てる方の名義へ変えならなければマイホームを建てることが出来ません。
名義が他人へ変わったのに、その代金が入ってくるのが建物が完成する3~4カ月後。土地を売る側とすれば、愛着のある自分の土地を売るという気分にならないはずです。それをつなぎ融資が解消してくれます。
ちなみに肥後銀行にはつなぎ融資がありません。下の図のように住宅ローン融資が土地購入時から始まります。このタイプは珍しいのですが、このような住宅ローンを取り扱っている金融機関もあります。
大手ハウスメーカーの中には、つなぎ融資を必要としない金融機関もありますし、自社でファイナンス部門を持っていて、そこがつなぎ融資を用意してくれることもあります。
どこで建てるかによっても変わってきますので、そこも重要な要素の一つです。
②つなぎ融資には手数料や利息がかかる
つなぎ融資は住宅ローンの契約とは違います。金利も住宅ローンより高くなりますし、手数料も別途で掛かります。ネット銀行住宅ローンを利用する際に、つなぎ融資で使われる株式会社アプラスのブリッジローン。金利は2.675%、事務手数料として110,000円が掛かります。
土地にかかる費用が1500万円、建物+諸費用で2500万円、合計4000万円の住宅ローンを申し込んでいた場合を上の図で表してます。4000万円の住宅ローンですが、手数料と利息約40万円が差し引かれますので、実質3960万円しか使うことが出来ません。
ネット銀行住宅ローンを利用する際、せっかくつなぎ融資が別の金融機関で使えることがわかっても、結果的に思わぬ出費をしてしまうということが起こりえます。つなぎ融資にどれくらい費用が掛かるのかは予め計算しておく必要があります。
③つなぎ融資と住宅ローンの団信は別物
②の冒頭にお伝えしました通り、住宅ローンとつなぎ融資は別のローンとなります。では、住宅ローンの融資実行前に、ご主人がお亡くなりになられた場合はどうなるのでしょうか?
つなぎ融資の団信内容によっても変わりますが、
・青部分でお亡くなりになった場合は、土地代金のみ ・緑部分でお亡くなりになった場合は、土地代金+着工金 ・オレンジ部分でお亡くなりになった場合は、土地代金+着工金+中間金
基本はこの部分しか保障されません。つなぎ融資を利用するネット銀行を選んだ場合、住宅ローンの審査は終わっていても契約が終わるのはローン実行日直前です。住宅ローンの契約者がいなくなった場合には、契約を行うことが出来ません。じゃあ、残りの代金をどうするのかという話になると思います。
ここについては、また後日取り上げることとします。つなぎ融資を利用する際には、住宅ローンの実行が行われるまでにリスクが伴うことを知っておかなければなりません。過去にこのような状況に陥ったことがあるという工務店さんの話を4件ほど聞きました。
いかがでしょうか?ネット銀行を使うためには、別の金融機関でつなぎ融資の手続きまでしなくてはいけません。それは、つなぎ融資が無ければ、土地の売主さんや建築会社の資金繰りに直結するからです。更に
①つなぎ融資には手数料がかかり、それがいくらかを計算する必要がある
②ローンの契約予定者が、途中でお亡くなりになった場合のことも考えなくてはならない
この二つも考えたうえで申し込みをしなくてはなりません。初めてマイホームを建てられるお客様にとっては、とても面倒な作業であると思います。もし、この面倒な作業が嫌でしたら私達でもお手伝いいたします。
数字で考える住宅ローン相談 090ー7921-8898 担当FP 戸田一誠