
明暗を分けた火災保険の入り方
熊本の震災から早くも1ヶ月以上経ちます。被災された方もそろそろ地震保険の保険金の支払いが終わっていることではないでしょうか。大きな地震など今までは無縁だった熊本では地震保険の加入率も低かったようで2014年の統計では28.5%と10世帯中7世帯が加入していないようです。
私自身も実際に被災してみて感じたことですが、地震保険の保険金は修理するにしても、建て直すとしても間違いなく大事なお金になりますので地震保険に入っていてよかったと実感しています。
それともう1つ自宅も含めてですがお客様の地震保険の保険金を請求してみて、初めて火災保険(地震保険)の入り方が見えました。あくまでも私FP永野の私見としてですが地震被害で保険金をもらうことにおいて成否を分けた火災保険・地震保険の入り方の説明をします。
結論から言えば、これを知っているか知らないかでもしもの時に100万円以上の違いが出るかもしれないことです。
火災保険は火災では使わない?
火災保険というのは2つから構成されています。1つは建物、もう1つは家財です。またそれぞれに任意で火災保険の保険金の30%から50%までの割合で地震保険に加入することが可能です。ちなみに地震保険ですがどこの保険会社でも同じ保険料になっています。
火災保険と聞くと何を思い浮かべますか?きっと火災でマイホームが燃えてしまった時のことではないでしょうか。ですが実際に火災保険を使うシーンで1番多いのは『破損・汚損』です。
破損・汚損の保障とはどんな保障かと言えば、例えば部屋の模様替えをしている時にあやまってテーブルを移動させている時に液晶テレビにぶつけてしまい壊してしまった時に使います。また先日熊本でもありましたが急に寒くなったため水道管が破裂した際にも使える保障となっています。
件数ベースでは破損・汚損の保障が多いのですが金額ベースではやはり台風などの風災害の保障になっています。私のお客様でも昨年では金額が大きい方で80万円以上支払いました。そう考えると名前は火災保険ですが火災以外で使うことの方が多いのが実際の現場で起こっていることです。
そうは言ってももちろん火災になった時にも家が建て直るような保険金にすることが大事なのは言うまでもないのですが、上記のことから考えた場合に建物の保険金は火事になった場合に再び建て直る金額でいいのであって過剰に高くする必要性はありません。
実は今回の地震では火災保険というより地震保険の保険金の成否を分けたのは建物ではなく家財でした。お客様からはよく『うちはあまり家財はないから』や『家財の保険金は少なくていい』と言われて保険金額を少なくした方も多くいました。
今回の地震ではこういった方が後悔しているのです。火災保険、特に地震保険では家財にポイントがあったのです。これが初めて地震保険を使ってわかったことです。
地震保険は建物より家財
今回の地震を中心に考えると最近の住宅は耐震基準がしっかりしているので被害が少なかったという印象を持っています。当然地盤を含めた地域(どこか)という要素は大きいですが、どちらかと言えば新しい家でなく築年数が古い家だったという理由の方が地震での被害が大きいように思っています。
私のお客様の地震保険の査定状況を見てみれば建物では全壊が1件、半壊が3件であとの方は一部損になっています。そうなのです。建物はほとんどは一部損なのです。一部損の保険金は5%。『建物が出ないね』と多くの方が言っていたのはこのことだったのです。
それとは別に『家財』はどうだったかといえばほとんどの方が半壊以上、つまり地震保険の保険金額の50%の保険金をもらっています。家財の保険金額が1000万円であれば地震保険は最高500万円です。半壊だとその50%の250万円が家財での地震保険の保険金です。
そうなのです。家財の方が査定は甘いのです。
確かに建物がもし一部損で5%しかでなくても家具や家電を買い直すには充分といえます。1000万円の5%なら50万円です。しかしもしも家財が500万円で地震保険が250万円だと半損の場合125万円もらえます。
今回の地震保険の保険金の成否は家財にどのくらいの保険金額を掛けていたのかではないかということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
家財に適正な保険金額を設定する
保険はあくまでの家計のリスクマネージメントの1つです。自分の家計にあった保険に加入すればいいです。ですが今回のようにとんでもなく大変な時にはこの地震保険の保険金は何よりもありがたいのは間違いないのです。
命があるからこそ言える話なのは承知していますが、現在の熊本では経済の停滞しハローワークには人が列をなして溢れています。家計にとってなくてはならない収入源に危機が及んでいます。きっと後数ヶ月は続くことでしょう。
そんな時にはやはりお金の大切さを感じないわけにはいきません。このへんが机上の空論とは違うところになってきます。そこからお客様にお話しした火災保険の加入方法の結論は以下のことになります。
1、家の立地条件を考えて保障内容を決める 2、建物の金額は過剰に取らない 3、家財の保険金額を『適正』に取る
対岸の火事から我がことに
阪神淡路も東日本大震災もテレビで見ていましたが今から考えると対岸の火事であり、他人事であったと思っています。それは私だけではなく多くの熊本の方が同じ思いでしょう。そうでなければ地震保険の加入率が30%以下なんてことはないでしょう。
現在、地震保険を含めたお問い合わせを本当に多くの方から頂いており、火災保険を含む保険の見直しを多く頂いております。保険は確かにコストですがしっかりしたマネージメントをすればピンチの時に何よりもありがたい存在となります。
今こそ他人事ではなく我がこととして保険を考えてみたらいかがではないでしょうか。
FPの家計リスクマネージメントとしての保険見直しはこちらから受け付けております。
永野FPオフィス 通話無料 0120−929−943 担当 FP永野 修