本当に得なのはどっち?
「利上げ何回」で答えが出ます
「変動金利のままで大丈夫ですか?」
2024年後半から日銀が利上げを再開し、この質問を毎週のようにいただくようになりました。
正直に言います。「変動かフラットか」の答えは、条件を入れれば数秒で出ます。
このブログでは、損益分岐点の考え方と、フラット35の審査に通るかの確認方法を、
2つの無料シミュレーターを使って一緒に整理していきます。
目次
① 今まさに起きていること ― 利上げの現実
2016年以降、長らく「変動金利一択」と言われてきた住宅ローン市場が、大きな転換点を迎えています。日本銀行は2024年以降、段階的に政策金利を引き上げており、変動金利の基準金利は着実に上昇しています。
- 変動金利(ネット銀行優遇後):0.85〜1.2%台
- フラット35(融資率90%以下・35年):2.250%(2026年3月)
- フラット50(融資率90%以下):2.380%(2026年3月)
現時点では変動金利の方がまだ低い水準ですが、「何回利上げが続いたらフラット35の方が得になるか」という視点で考えると、人によって答えはまったく変わってきます。
住宅ローンは35年・50年という超長期の契約。10年後・20年後の金利環境は誰にも予測できません。今の低金利に慣れすぎて、利上げリスクを織り込まずにいると、将来の家計を圧迫する可能性があります。
② 変動金利とフラット35の根本的な違い
まず基本を整理しましょう。
| 比較項目 | 変動金利 | フラット35/50 |
|---|---|---|
| 金利タイプ | 半年ごとに見直し | 全期間固定 |
| 2026年3月の目安 | 0.85〜1.2%台 | 2.250〜2.490% |
| 利上げリスク | あり(半年ごとに+0.25%の可能性) | なし(借入時の金利が全期間適用) |
| 5年ルール | あり(返済額は5年間変わらない) | なし |
| 125%ルール | あり(返済額増加は前回の125%まで) | なし |
| 審査基準 | 各銀行が独自に設定 | 住宅金融支援機構が統一基準を設定 |
| 団体信用生命保険 | 無料(金利に含む)が多い | 原則任意加入(別途保険料) |
| 向いている人 | 金利上昇が少ないと読む方・繰上返済予定の方 | 長期安定を重視する方・利上げリスクを避けたい方 |
ポイントは「現在の金利差」だけで判断しないこと。35年・50年という長い返済期間の中で、金利がどう動くかによって総返済額は数百万円単位で変わります。
③ 損益分岐点とは何か ― 「利上げ○回」で即答できる
損益分岐点の考え方
損益分岐点とは、「変動金利の総返済額がフラット35の総返済額を上回るタイミング」のことです。このポイントを過ぎると、フラット35を選んでいた方が得だったということになります。
利上げは半年ごとに+0.25%、上限3.0%に設定した場合:
| 利上げ回数 | 到達金利 | 変動 総返済 | フラット 総返済 | 有利な選択 |
|---|---|---|---|---|
| 0回 | 0.475% | 約4,990万円 | 約6,387万円 | 変動✓ |
| 2回 | 0.975% | 約5,330万円 | 約6,387万円 | 変動✓ |
| 4回 | 1.475% | 約5,760万円 | 約6,387万円 | 変動✓ |
| 6回 ← 分岐点 | 1.975% | 約6,420万円 | 約6,387万円 | ほぼ同等 |
| 8回 | 2.475% | 約7,060万円 | 約6,387万円 | フラット✓ |
重要なのは、借入金額・返済期間・初期金利・フラット35の適用金利によって、この分岐点は大きく変わるという点です。だからこそ、あなたの条件で計算することが必要です。
④ 【STEP1】シミュレーターで「利上げ何回が分岐点か」を確認する
上のシミュレーターでは、以下の項目を入力するだけで答えが出ます。
- 何回の利上げ(+0.25%×N回)でフラット35が有利になるか
- 利上げ回数別の変動・フラットの総返済額比較テーブル
- 累積返済額の推移グラフ(損益分岐点ライン付き)
- 5年ルール・125%ルールの影響
- 子育てプラスを適用したフラット35の金利引下げ効果
⑤ 【STEP2】そもそもフラット35の審査に通るか確認する
「フラット35が有利かも」とわかっても、審査に通らなければ意味がありません。
フラット35の審査では、返済比率(年間返済額÷年収)が重要な基準です。この比率が基準を超えると、どれだけ希望しても審査が通りません。
フラット35の返済比率基準
| 年収 | 返済比率の上限 |
|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 |
| 400万円以上 | 35%以下 |
フラット35の返済比率は、実際の適用金利ではなく「審査金利」で計算されます。2026年3月の審査金利は区分によって2.25〜2.49%。自分が思ったより借りられないケースも多いので、事前に確認が必須です。
また、フラット35には以下の4つの審査区分があります。
| 区分 | 種類 | 融資率 | 2026年3月 最頻金利 |
|---|---|---|---|
| ① | フラット35 | 90%以下 | 2.250% |
| ② | フラット35 | 90%超 | 2.360% |
| ③ | フラット50 | 90%以下 | 2.380% |
| ④ | フラット50+35(2本立て) | 90%超 | 2.490%+2.360% |
40代・男性・年収580万円・物件4,500万円のケース。銀行の変動金利で審査落ちが続いていたが…
- CICに事故情報(異動)が2件あったことが原因だった
- フラット35は信用情報の審査基準が銀行と異なる
- 返済比率も基準内に収まっており、フラット35で通過
⑥ 子育て世帯は「子育てプラス」で大きく変わる
子育て世帯・若者夫婦世帯の方は、フラット35の「子育てプラス」という金利引下げ制度が使えます。これを知らずにフラット35を諦めている方が非常に多いです。
子育てプラス ポイント早見表
| カテゴリ | 条件 | ポイント | 金利引下げ効果 |
|---|---|---|---|
| A:子育て・若者夫婦 | 若者夫婦(どちらかが40歳未満) | +1pt | ▲0.25% |
| A:子育て・若者夫婦 | 子ども1人につき(18歳未満) | +1pt/人 | ▲0.25%/人 |
| B:住宅性能 | フラット35S ZEH | +3pt | ▲0.75% |
| B:住宅性能 | フラット35S A基準 | +2pt | ▲0.50% |
| C:管理・補修 | 長期優良住宅 | +1pt | ▲0.25% |
| D:地域 | 地方移住支援型・地域連携型 | +1〜2pt | ▲0.25〜0.50% |
- 当初5年間:最大4ポイントまで適用(最大▲1.00%)
- 6〜10年目:子育てプラス分の未使用ポイントをキャリーオーバー可能
- 11年目以降:基準金利に戻る
- 子育てプラスは新規購入のみ(借換え不可)
- 予算が尽きると受付終了(公式サイトで要確認)
借入3,500万円・35年・若者夫婦+子2人+ZEH(A基準)= 合計5pt → 4pt上限適用
| 期間 | 金利 | 月返済額(目安) |
|---|---|---|
| 当初5年 | 2.250% → 1.250%(▲1.00%) | 約8.1万円 |
| 6〜10年目 | 1.750%(▲0.50% CO) | 約9.3万円 |
| 11年目〜 | 2.250%(基準金利) | 約10.4万円 |
子育てプラスを適用すると、変動金利との損益分岐点が大きく変わります。先ほどのシミュレーターで「子育てプラス」の条件を入れて、改めて損益分岐点を確認してみてください。
⑦ 元審査担当17年のFPが見る、実際の判断ポイント
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家族構成の変化・収入の安定性・繰上げ返済の意思・精神的な安心感……これらを全部ひっくるめて初めて「あなたの答え」が出ます。
判断する際に必ず確認する5つの質問
シミュレーターは「数字の比較」はできますが、信用情報・勤務形態・物件の担保評価・家族の将来設計は反映されません。シミュレーターはあくまで「仮説を立てる道具」。最終的な判断は専門家と一緒に行うことをお勧めします。
⑧ まとめ ― 2ステップで「自分の答え」を出しましょう
この記事でお伝えしたことを整理します。
- STEP1:損益分岐点を確認「何回の利上げでフラットが有利になるか」をシミュレーターで数値化する → 損益分岐点シミュレーターへ
- STEP2:審査に通るか確認フラット35が有利でも、審査に通らなければ意味がない。返済比率が基準内かを確認する → 審査基準シミュレーターへ
- STEP3:FPに相談数字だけでは見えない「あなたの家族に合った答え」を一緒に考える
この2つのシミュレーターはすべて無料で、何度でも試せます。まずは自分の条件を入力して「仮の答え」を出してみてください。そのうえで疑問が残ったり、「もっと詳しく相談したい」と感じたら、お気軽にご連絡ください。
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