マイホーム購入時に考える相続問題とは
最近、相談で増えているのが親の土地にマイホームを建てるというものです。子供からすると土地代が不要なので一見していいことずくめのように見えます。
ですが本当にそうなのでしょうか。
実際にマイホーム購入の時にリスクを指摘したのですがその時は『大丈夫!』といって先送りにしたのです。
しかしやはりというか当然、『あの時にやっておけば』ということに。親の土地に家を建てるということは親に相続が発生したらその土地はどうなるか知っていますか。
結果的に相続金額、約1億円をめぐってこじれた問題を再び依頼を受けて解決する羽目になったのです。
まさか!はある日突然に訪れます。やるべき時に労を惜しまず必ず解決しておくことが相続問題では何よりも求められるというものです。
あなたもそうならないように是非マイホーム購入時には考えて欲しいと思います。
相続問題の解決はチャンスを逃すな
依頼人のAさんから電話をいただいたのは住宅購入に関するものでした。奥様の親の土地に住宅を建てるということでハウスメーカー選びから資金計画、保険設計、そして引き渡しまで監修することに。
その中で奥様の親の不動産がどのくらいあるか出したもらったらその中にアパートが3棟、他にも幾つかの土地があり、現金もそれなりにありました。
兄弟を確認したところ4人とのこと。これは危険かもと思い親に理由をつけて会いました。直線的にではなく迂回しながら相続の問題を切り出したところ別の兄弟からも考えているという話が。
別の日に電話があり兄弟と親が集まって相続に関して話すことになったので来て欲しいということで私の参加しました。
今回の住宅建設の概略を説明したところ親の方から『そんなこと心配しなくてもいいのでは』という楽観的な話が出てしまったのでそこで話は終わってしまいました。
その後も何度も聞いていたのですがなかなか進まず住宅引き渡しとなりました。
両親は自分の敷地に娘が住むことになったので嬉しそうでした。嫌な予感がしたのはきっと私だけだったのでしょうね。
それから月日が経ってから再び連絡がありました。『やっぱり!』親の介護が必要になるかもということでした。
実際に介護になったのですが他の3人の兄弟からは土地に家を建てたのだから自分たちで介護をするように言われて奥様が中心に介護をしていました。そして気がつきました。
痴呆気味で相続は解決できるのか?そうなのです。もう時すでに遅しなのです。
建てた家の土地は未だに父親名義です。相続人は母親と兄弟4人。相続税だけでも1000万円は超えそうです。存命で元気であれば解決方法はありました。
実際、兄弟姉妹に相続案を提案した時は相続人全員賛成でした。どんな案だったのでしょうか。
不動産売却のチャンスだった2016年
まずは3棟あるアパートに関してですがもう年齢的にアパート経営はしたくないということでした。売却案を提案したところ全員OKでした。それだけ2016年は売却のチャンスでした。
そして依頼人の家の土地は依頼人の奥さま名義にという案も承認されていました。あとは現金の分割案も5年に渡す贈与案でOKでした。
贈与は3年以内のものは相続財産となるのですが孫への贈与はそうはなりません。外貨での保険も500万円×相続人5人で2500万円までありましたので保険金の分割案も提示。
あとは実際に税理士に相続税、贈与税を計算してもらって遺言ということになっていました。
ですが残念ながら所有者の父からOKが出ませんでした。理由は特にないようで『別に今やらなくても』ということでした。
一応私も言ってみましたが首を縦に振ってくれませんでした。
そしてまた電話が。アパートの借入金の返済が終了。相続財産は殖える一方。教育資金の贈与も使える孫も減りました。
依頼人は『あの時もっと強く言っていれば』と後悔しきりです。兄弟たちも年金不安を感じているようです。
こういうものを見ていると『チャンスは逃すな』と思うのですよね。
もし、同じような問題があるのであれば住宅建設の時が1つのきっかけでありチャンスなので是非この機会を逃すことなく解決に動いて欲しいものです。
作戦担当のFP永野も残念な案件でした。
永野FPオフィス 通話無料 0120−929−943 担当 FP永野 修