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「もう離婚したから関係ない」は大間違い
当オフィスには、こんな相談が届くことがあります。
「元妻が住んでいる家の住宅ローンが、まだ自分の名義になっている」 「離婚して3年経つが、住宅ローンの手続きを何もしていない」 「名義変更は面倒だから、そのままにしていていいですか?」
そのまま放置していると、どうなるか。
実際にこんなことが起きています。
元妻から連絡が入りました。 「ローンの支払いが滞っているみたいで、督促状が届いている。あなたの名義だから私には何もできない。どうしてくれるの」
夫は再婚して新しい家庭を持っていた。しかし自分の名義の住宅ローンが支払われていない以上、信用情報に傷がつく。新しく組もうとしていた車のローンも、通らなくなるかもしれない。
「離婚したはずなのに、なぜこんな目に…」
このような相談が後を絶ちません。
夫名義のまま放置することの具体的なリスク
離婚後も住宅ローンが夫名義のままになっていることには、複数のリスクがあります。整理してみましょう。
リスク1 元妻の支払いが滞ったとき、夫の信用情報に傷がつく
ローンの名義が夫である限り、支払い義務者は夫です。元妻が支払いを怠った場合、銀行から夫のところへ督促が来ます。滞納が続けばCICなどの信用情報に「異動(事故情報)」が記録されます。
その結果、夫が自分の新しいローンを組もうとしても、審査で落ちる可能性があります。
リスク2 元夫が破産・死亡した場合、住んでいる元妻が家を失う
逆のリスクもあります。元夫が何らかの事情で支払いができなくなったとき、担保である不動産は競売にかけられます。
「公正証書を巻いているから大丈夫」と思っている方もいますが、競売は銀行が行うものです。公正証書は銀行には関係ありません。
リスク3 元夫が再婚・住宅購入の際に影響が出る
夫名義の住宅ローンが残っている間、夫の借入可能額はその分減ります。再婚後に新しいマイホームを購入しようとしても、審査が厳しくなります。
リスク4 相続が発生した場合に複雑になる
元夫が亡くなった場合、その住宅ローンは相続人(新しい家族)に引き継がれます。元妻の住んでいる家のローンを、新しい妻や子が引き継ぐことになりかねません。トラブルの火種になります。
「公正証書があれば安心」は半分だけ正解
当オフィスには、こんな相談もありました。
離婚の際に公正証書で「住宅ローンは元妻が支払う」「支払いを怠った場合は強制執行に応じる」という取り決めをしていました。
ところが元妻が支払い困難になり、銀行から夫のところへ督促が来ました。
公正証書があったので元妻に対して法的に対処することはできますが、銀行への支払いは名義人である夫が行わなければなりません。結局、夫が立て替えて支払うことになりました。
公正証書は元妻に対して有効です。でも銀行には通用しません。
これが現実です。
正しい解決策はフラット35での名義変更
夫としても、元妻としても、最善の解決策は住宅ローンを妻名義に変えてしまうことです。
方法は主に3つあります。
1、銀行の変動金利ローンへ借換(妻名義で新規) 2、フラット35で借換(妻名義で新規) 3、住宅債権管理回収機構に相談してフラット35内で変更
このうち一番よく使われるのが①か②です。
特に元妻が派遣社員・パートタイマーの場合は②のフラット35が有効です。フラット35は勤務形態を問わず審査してもらえるため、銀行で断られた場合でも通る可能性があります。
名義変更が成功する条件
元妻名義に変更するには、元妻が住宅ローン審査に通ることが大前提です。審査のポイントは返済比率です。

元妻の年収 × 35%(年収400万円未満は30%)÷ 12ヶ月 = ①
① ー 他ローンの月額返済 = ② ② ÷ 0.3312 × 100 = 借入可能額の目安
この数字が現在の住宅ローン残高を上回っていれば、審査が通る可能性があります。
「元妻の収入では難しいかもしれない」という場合も、方法はあります。例えば財産分与の一部を使ってローン残高を減らす、という方法です。
夫と元妻が協力して、正しい手順で進めれば、ほとんどのケースで解決できます。
フラット35での名義変更の手順
フラット35を使う場合の具体的な流れはこのとおりです。
STEP1 仮審査(離婚前でも可) 元妻の名義で仮審査を出します。
STEP2 離婚成立 フラット35の本審査は離婚後が条件です。
STEP3 別居の確認 元妻が別居している証明(賃貸借契約書)が必要です。
STEP4 本審査・必要書類の準備
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票
- 賃貸借契約書
- 不動産売買契約書
- フラット35適合証明書
STEP5 決済・登記変更 住宅ローンも不動産の名義も、正式に元妻名義になります。
このタイミングで夫は住宅ローンの債務者でなくなります。これが、夫にとっての最大のメリットです。
夫からのアクションが大切
「手続きが面倒だから」「元妻に任せておけばいい」という考えは危険です。
住宅ローンが夫名義である以上、リスクを抱えているのは夫自身です。
当オフィスでは夫側・妻側どちらからのご相談も受け付けています。「まず今の状況を整理したい」という段階からお気軽にどうぞ。
放置してから慌てる前に、今動くことが大切です。
FPからのアドバイス 夫名義のままは誰にとっても不幸
離婚後に住宅ローンが夫名義のまま放置されると、夫にとっても元妻にとっても、良いことは一つもありません。
フラット35を使えば、勤務形態に関わらず元妻名義への変更が実現できるケースが多いです。
まずは返済比率の計算から始めてみてください。一緒にやりますので、気軽にご相談ください。

FPは『人生のゲームチェンジャー』
私が専門としているのは 住宅ローンの「入口」と「出口」 を支えることです。 入口(審査):「果たして自分は住宅ローンに通るのか?」という最初の関門。
CICなどの信用情報、年収、勤務形態などで不安を抱える方が多いですが、正しい知識と金融機関の選び方で逆転できることも少なくありません。
出口(支払い):「35年間、本当に払っていけるのか?」という長い道のり。返済比率やライフプラン、団信や固定金利の選び方を踏まえて、無理のない資金計画を一緒に作り上げていきます。
住宅ローンは「入口」と「出口」がそろって初めて“安心できるマイホーム購入”が叶います。 審査に不安がある方も、将来の返済が心配な方も、まずはお気軽にご相談ください


