登記の持分割合はどうすればいいか
住宅ローンを夫婦共有で組む時に知っておかないといけないことがある。それは登記の持分をどうするかです。土地と建物を別に購入する場合、住宅ローンの仮審査が終わり本審査承認後に土地をつなぎ融資で決済します。
その時に銀行や司法書士から持分はどうしますか?と聞かれます。当然初めてマイホームを購入する方は何がいいのかわかりません。誰に聞けばいいのでしょうか。
通常はセールスに聞いてしまいます。すると年収から考えて例えば『半分つづでいいのでは?』と答えが返ってきます。なんで素人のセールスに聞くのでしょうか。これが失敗の元なのにです。
もう少し踏み込んで『本当なの?』ネットやYouTubeなどで調べる方もいますがその多くは住宅ローン控除を中心に考えて持分を決めるという損得を優先したものが多いです。
でも本当にそんな簡単に決めていいのでしょうか。
金融商品には必ずと言っていいほどメリットとデメリットがあります。では連帯債務の持分登記にはデメリットは何でしょうか。どうすればいいのでしょうか。今回はそれを説明します。
利点は住宅ローン控除
住宅ローンを収入合算で契約する場合にするメリットとはなんでしょうか。大きく分けて2つあります。1つは夫婦または親子の収入が合算されるのでローン金額を増やすことができます。
もう1つあります。夫の収入によっては住宅ローン控除の金額を使いきれない可能性があります。所得税から引ききれない金額は住民税からも引かれるのですがそれでも余りが出る場合です。
そんな時に夫婦それぞれから住宅ローン控除を利用して効率よく使えば10年または13年税金が少なくなるのです。これは決して悪い話ではありません。私も否定するものではないです。
しかしここで言いたいのは利点を目一杯享受するには同時にデメリットも理解しておく必要があるという話をしています。なぜならデメリットが大きく出てしまった時にはとても大きな問題にぶつ当たるからです。
ではどんな時に大きな問題が起こるのでしょうか。
その1つは離婚の時です。実はこの手の相談が最近急増しているのです。実際にどんな相談があるのかを見てみます。
デメリットは離婚
先日女性よりマンションを購入したいと相談がありました。収入を確認しマンションの金額を確認したのですが特段問題はなかったのですが途中でこんなことを言い出しました。
最近離婚したらしく子どもと家族で住んでいた家を出て実家のアパートに住んでいる。以前の家は住宅ローンを組んでいるようで夫と妻の共有名義で持分は5対5。
現在は夫のが支払っているとのことでした。まずはその家の持分をどちらかに全部移さないといけないのですが喋りたくないという理由でほったらかしになっていました。
それでも残金がそれほど多くないことから新しいマンション購入は可能でしたができればきっちりとしたほうがいいとアドバイスしました。
それからしばらくしてから連絡がありました。旦那様の方から家を出てから今までの住宅ローンの支払いの半額分を支払えと弁護士より通知があったようです。
出てから1年なので月12万円の半分6万円×12ヶ月分で72万円です。長引けば長引くほど支払額が増えそうなのです。何よりこの女性はすでに貯蓄もあまりなくそれを支払うとマンション購入は無理です。
ここで連絡が途絶えてしまったのでそうなったかはわかりませんが連帯債務なので支払い義務はありそうです。旦那様の単独名義だったらこんなことにはならなかったのです。
持分登記もリスク管理は必要
もし旦那様だけで住宅ローンを通すことができるのであれば基本的には単独の持分はいいです。理由は何よりトラブルが少ないことです。利点に目を奪われすぎてもいいことないです。
持分登記を考える時には住宅ローン控除から考えるだけでなく今後の勤務はどうするのか、や転職の有無なども考慮に入れたいところです。
持分に関しては団体信用保険からも考えたいところです。例えば残金3000万円を住宅ローンは連帯債務で登記の持分は半分ずつの方がいたとします。
持分が半分なので現在の債務は3000万円の半分の1500万円ずつです。ここで夫が死亡したとします。当然団体信用保険が適用になり住宅ローンを支払うことなく今の家に住むことが可能になります。
確かに住宅ローンという名の借金はチャラになりました。しかしこの問題はこれで終わりではないのです。奥様には所得税がかかってきます。
旦那様の死亡により団体信用保険が適用され住宅ローン3000万円分が無くなったのですが夫の債務は1500万円です。奥様の債務の残り1500万円分もなくなりました。
ラッキー!そう言いそうになりますがそんなにうまい話はありません。奥様は借金がチャラになった自分の債務の1500万円分の経済利益を得たことになります。
ここに所得税(一時所得)がかかってきます。判例をつけておきますので参照してください。
https://www.kfs.go.jp/service/JP/72/14/index.html
いくらの一時所得となるのか(1500万円ー50万円)この一時所得に1/2をして給与所得などと合わせて税率をかけます。単純に計算しても所得税は100万円近くになります。
もし持分が少なければもっと所得税の金額は少なくなります。いかがでしょうか。持分を適当に言われるがまま決めるレベルのものではないことがわかっていただけたでしょうか。
永野FPオフィスの住宅ローン相談 通話無料 0120−292−943 担当FP 永野 修