マイホームは夫名義それとも夫婦共有名義?
平成28年3月は確定申告期間の真っ只中。税金、特に所得税に関する話がチラホラ出てきています。不明なことは税務署に聞くと親切に教えてくれますがそのことをお客様にお話しすると驚かれます。
今の税務署は本当に親切に教えてくれるのですがお客様は横柄な態度を取られてきた時代のことがまだ頭にあるのでしょうか。
住宅購入する方から質問が多い事項が幾つかありますが今回はその中でもTOPクラスで多い質問はこれです。
『夫名義か共有名義か』
結論から言えば損得で考える問題でないということです。
雑誌やマスコミなどでは夫婦共有名義での方が住宅ローン減税が夫婦ともに適用になるため税金が安くなりお得!何て記事が踊るとこがありますが本当に名義は税金のことだけ考えればいいのでしょうか。
ちなみに私が相談する優秀な不動産業界や銀行員は口を揃えて不動産は共有名義はやめた方がいいと言います。なぜだと思いますか?
今回はそんなことを解説していきます。
夫婦共有名義のルール
最初に名義に関しては住宅ローンと不動産登記では分けて考える必要があります。住宅購入にあたり誰がお金を出すのかということなのです。
例えば住宅ローンは旦那様名義、頭金を奥様が出したら不動産の持分は旦那様と奥様の共有名義で頭金分が奥様と住宅ローンの分は旦那様の割合ということになります。
ということは質問になるのは住宅ローンの契約の仕方ということになります。持分を全て旦那様にしたかったら頭金、住宅ローン含めて全て旦那様名義となります。
不動産の名義にこだわらないという場合に共有名義かそれとも旦那様名義かを考えることになります。
夫婦共有名義の利点
夫婦でローンを組む場合の利点の1つは審査にあります。
もちろん夫婦双方が信用情報に問題がない場合の話ですが審査的には共有名義の方が通りやすくなります。例えば旦那様の年収では住宅ローンが通らない場合、奥様の年収を収入合算させればそれだけ借りれる額が増えます。
ただし銀行によっては奥様の年収を半分しか考えない銀行があったりしますのでご注意ください。
2つ目はやはり住宅ローン控除になります。住宅ローン減税は住宅ローンを契約してから10年間に限り所得税と住民税に関して優遇されています。
ローン残高の1%を上限に所得税を税額控除するというものです。例えば住宅ローン残高が3000万円であれば所得税30万円まで還付させます。
ただしもちろん所得税(源泉徴収額)が30万円未満であればその金額が限度になります。そのかわり所得税から引ききれなかった場合は住民税からも「前年分の所得税の課税総所得金額等の7%(136,500円を限度)」控除されるという特典があります。
ということは住宅ローンを3000万円とした場合は旦那様の所得税(源泉徴収額)が163.500円以上(30万円ー住民税136500円)であれば住宅ローンを夫婦共有にして奥様の所得税からも住宅ローン控除したほうがいいということになります。
まとめますと税金を考えた場合、以下の条件を満たせば共有名義のほうが得ということになります。
1、奥様も所得税を払っている。(源泉徴収されている) 2、旦那様の所得税(源泉徴収税額)と住民税がローン残高の1%以下
住宅ローンの共有の欠点
住宅ローンに限らず金融商品などを含めて利点の裏には必ず欠点があります。夫婦共有名義にも同じく欠点があります。では欠点とは何かと申しますと大きく3つあります。
1つは団体信用保険になります。
例えば割合が7対3にした場合旦那様が死亡した場合の団体信用保険の適用額は旦那様の持分のみとなり、奥様の持分のローンはそのまま残ってしまいます。
もし共有にする場合は旦那様の持分程度生命保険を契約しておけば住宅ローンの支払いに関しては解決します。
2つ目はこれはあまり話したくはないのですが離婚のときです。
いい話ではないのであまり触れないようにします。これが多いので不動産や銀行に携わる方は共有名義にしないほうがいいというわけです。
3つ目は奥様が退職した時に起こります。
奥様が勤務をやめた場合奥様の持分を旦那様が支払った場合はその金額に対して贈与とみなされます。もちろん110万円の基礎控除以上であればとなります。
もう1つこの低金利では起こりづらいのですが住宅ローンの借り換えの時です。奥様が働いていて収入があるからこそ住宅ローンの共有ができたわけでお子様が生まれたなどの理由で主婦で収入がなくなった場合に借り換えを断られることがあります。
その時の方法はこちらを参考にしてください。
住宅ローン減税だけで考えるべきではない
結局こう見ていくと確かに住宅ローン減税の面での金銭的メリットは重要ですがライフプランの問題にも関わってくるのでトータル的に考えることが大事になってきます。
奥さまが専業主婦になった場合などは住宅ローン控除の面でもったいないということだって起こります。
目先のとくだけを追いかけるのではなく少し先のことも考えて決めてください。この相談が多いので私の考えを書いてみました。参考になりましたでしょうか。
私のケースではどうなの?というお客様からの相談がおおくなっています。実際に知りたい場合はご相談ください。
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