人間、背負えるリスクには限界がある
人間は生きているというだけでリスクを背負っている。生命のリスク、お金のリスク、そして災害のリスク。そのリスクを緩和するために保険というものは発展していった。
しかし背負えるリスクにもやはり限界というものがある。それは時間というリスクだ。時と共に人間は不確実性を余儀なくされるし対応しなければならない。
マイホーム購入ではその不確実性をもろに体験することになるのでその事実と対処法を知っておく必要がある。しかし知らない、もしくは教えもらえない人がたくさんいるのはリスクの何者でもない。
今回はそんなリスクを背負って欲しくないのだがやむなく背負ってしまった方への対処法をブログにしたい。でも本音はやめた方がいいと思っている。
土地+建物でマイホーム建築する場合住宅ローン控除13年とすまいの給付金が9月締め切りだったためその後の住宅ローン選びで多くの相談をいただいています。
急いだ挙句に家の構造やデザインに重きを置いた結果家計負担の許容範囲以上のマイホーム金額になっている人はかなりの数いそうです。
ハウスメーカー選びに集中しずぎてローンのことをあまり調べる時間がなく今になってYouTubeなどを見漁っているようですがそれはやめた方がいいです。
なぜならネットの情報は主に東京などの情報であることが多く誤りも多い。東京はマンションが多いし熊本とはマイホーム購入状況がかなり違っているからです。
住宅ローンは土地によって変わりますし銀行によっても変わります。お住みの地域に合わせて知ることが必要なのです。だから下手な知識はかえって失敗を引き起こします。
ちなみにこのブログは熊本でマイホームを購入する方が知らないということで損したり失敗したくない方には役に立つように書いています。
今回のブログは建物の完成までの引き渡し期間が長い契約が多くなっていることを踏まえてそこにある巨大なリスクが存在するという話をします。
まず私なら土地を購入してから引き渡し期間が8ヶ月、10ヶ月と長くなるなら買いません。そのくらいリスクがあるからです。ではそのリスクとは何か?そんなお話をします。
家賃と住宅ローンダブルで払えますか?
私ならリスクが高いので引き渡し期間が長いハウスメーカーからは購入しない。どんなにいい家でもそれ以上に自分の人生を大事にするからです。
国家公務員の中村さん(仮名)はそんなリスクに気がついて相談に訪れました。土地の契約が8月、10月に決済。建物は2月から着工で引き渡しは9月と言われたそうです。
余裕を持ったスケジュールですと言われているのですが住宅ローンを調べているうちに『もしかして失敗したか?』と不安になったようです。
中村さんが気がついたリスクとは何か?それは主に3つありました。
1、家計リスク 2、死亡リスク 3、団信リスク
契約してから土地の決済は通常は住宅ローンの本審査後につなぎ融資というものを使って支払いをします。そして自分の名義に変わってから建物の建築に入ります。
まず最初に気がついたのは家計リスクです。もう少し具体的に言うと家賃と住宅ローンのダブルで支払うのはちょっとどころか結構しんどいことに気がついたからです。
お客様はハウスメーカーから肥後銀行の住宅ローンを勧められたそうです。ハウスメーカーが肥後銀行を勧める理由は前回のブログに書いた通りです。
https://myhome-fpft.jp/?p=3945
肥後銀行の住宅ローンの特徴はつなぎ融資を使わないことにあります。本審査後にすぐに金銭消費貸借契約を締結するのです。
熊本銀行やフラット35、楽天銀行などとの大きな違いはこれらの銀行は住宅の引き渡し日が決まってから契約をします。この2つの違いは何かというと1つは肥後銀行は支払いが始まるということです。
ただし6ヶ月間は利息だけの支払いでもOKです。利息だけでも数万円はかかりますので家賃が大きければ大きいほど数ヶ月とはいえ生活は大変になります。
問題は土地決済から6ヶ月を超える場合です。つまり上記の中村さんの場合は土地購入から翌年4月までは家賃+利息のみでいいのですが5月からは違います。
5月から引き渡しの9月までの5ヶ月間は『家賃+住宅ローン』の支払いになります。これはかなり大変です。ローン金額が大きければ月に20万円になる可能性もあります。
無理だ!
どうしたらいいの?
他の銀行の方がいいのか?
ということで相談に来たというわけです。
肥後銀行の利点
金融商品というのは必ず欠点の裏側に利点があります。それを知らないと欠点だけ見てこの銀行はダメということを言い出します。最も家賃+住宅ローンが無理なら別の銀行しかないです。
では肥後銀行の住宅ローンの欠点の裏側の大きな利点となにか?
それは団信がすぐに適用になることです。土地決済後に死亡したらどうなるのか?これって1年間なので発生の可能性が高いとはいえないです。ですが起こった時に破壊力は凄まじいです。
もし団信が引き渡し後からならつなぎ融資に団信がついていれば土地は適用になり遺族の所有になりますが建物の支払いはどうなるでしょうか?
当然契約破棄で違約金15%程度ハウスメーカーに支払うか、それでも建物が3000万円なら450万円、生命保険で支払うことになります。
もし建物代金を賄える程度の保険金がなかったらどうでしょうか。夫の死亡後の生命保険は奥様、お子様の生活や教育資金では大事な役割を果たすはずです。それがないことになります。
肥後銀行ならその大きなリスクは回避されるのです。これはとても大きなリスク回避です。でも家賃+住宅ローンはきついです。中村さんはもっと調べました。
つなぎ融資なら家賃とローンは重ならない?
中村さんは肥後銀行の利点と欠点に気がついたので他の銀行はどうなのかを調べました。次に調べたのは楽天銀行でした。しかしつなぎ融資を調べてすぐにやめました。
なぜならHPを読んだらつなぎ融資は6ヶ月間と書いてあったからです。これでは肥後銀行の方がリスクが低いことにあります。金利は大変魅力ですが今のリスク回避にはならないと考えました。
もう1つ近所に熊本銀行があるので調べました。しかしHPを見てもつなぎ融資に関して詳細な記載がないのでさっぱり分かりませんでした。
銀行に行って聞こうかと起こったようですが相談した方が早いということでこのあたりで相談に行くことを決めたようです。
熊本銀行のつなぎ融資は11ヶ月までで延長などはないです。なぜならつなぎ融資というのは手形貸付というもので期日を決めて融資するからです。
中村さんの場合はどうでしょうか。
10月末から9月までの11ヶ月になります。11ヶ月が終わったら土地の住宅ローンが開始になります。これなら大丈夫そうです。
建築期間が1ヶ月程度伸びると家賃と住宅ローンが最悪1ヶ月だけ重なりますが1ヶ月ならなんとかなります。中村さんは安心しましたがもちろん裏側に欠点もあります。それは金利負担と健康リスクです。
つなぎ融資は建築中の支払いはないですが決済日まで金利負担が必要です。例えば土地が1000万円で11ヶ月まるまる利用したとすると金利負担はこんな計算です。
1000万円×2.775%×11ヶ月/12ヶ月=70589万円
同じく建物の着手金・中間金にも同様の計算式での利息計算が入ってきます。建物の金額によっては30万円くらいかかるときもあります。
例えば30万円だったらとするとこれは最後の決済金額から差し引かれます。なので決済時にはつなぎ融資の費用(手数料+利息)と保証料が差し引かれます。
資金的に問題がなければとりあえず家賃と住宅ローンのダブル支払いという問題は解消されそうです。しかしお気づきの方もいらっしゃると思いますが肥後銀行の利点は熊本銀行の欠点になります。
つまり引き渡しまでが長いハウスメーカーで購入するということはこういった小さくないリスクを抱えることになります。資金的に問題がない人はOKでしょう。
ですがそうでない人はとてもお勧めできないです。マイホーム購入は金額が大きくただでさえリスクがあります。その上、上記のリスクまで抱えるのでしょうか
もし中村さんのようにリスクに気がつかなたっからどうなってますか?セールスの言われるがままに住宅ローンを決めていたらどうでしょうか。
セールスは基本的に住宅ローンのことは詳しくないです。詳しいのは家の販売です。お客様はそれを頭に入れてマイホーム購入、住宅ローンをするべきなのです。
永野FPオフィスの住宅ローン相談 通話無料0120ー929−943 担当FP 永野 修