他の都道府県と違う熊本の特徴
市街化区域と市街化調整区域。土地に関するお仕事をされない方であれば、なかなか区別が難しい言葉です。市街化調整区域とは市街化を抑制する土地なので、基本的に新築建物を建てることが出来ません。
しかし、熊本県の場合は平成19年施行の条例により、一定の条件を満たせば市街化調整区域であっても新築住宅を建てることが出来ます。キレイに整備された分譲地が市街化調整区域であるということも珍しくありませんし、西熊本駅が出来て便利になった力合小校区も市街化調整区域が広い範囲であります。
ネットで市街化区域と市街化調整区域のことを調べると、市街化区域に比べて市街化調整区域は価値が高くないであったり、価格も安く購入出来ると書いてあるものもあります。
熊本市の場合は市街化調整区域でも便利に生活できる地区が数多くあります。なので、市街化調整区域であっても価格が市街化区域と変わらないようなところもありますから、そこには期待されない方が良いでしょう。
「市街化区域の土地Aと市街化調整区域の土地B、小学校から近いので土地Bの方が気に入っています。ただ、市街化調整区域というのだけ気になってますが、何か支障が出るようなことはありますか?」
お客様からこのような質問をいただいたことがあります。
・土地を購入して建物が本当に建てられるのだろうか?
・銀行は住宅ローンを貸してくれるのだろうか?
・将来的に何かマイナスとなるようなことがあるのではないか?
ネットで調べて、様々な不安を感じられたとのことです。一生に一度の大きな買い物なので、このように不安を感じられるのは理解が出来ます。ただし、不安さえ解消されれば、お子様の通学に便利な土地Bを購入したいという気持ちは感じておりました。
土地の価値を取るか?それ以外を取るか?
まず、その土地は大手不動産会社が開発した分譲地でした。まだ、その分譲地に建物が建っていなかったのと、ネットの記事を見て、お客様は不安になっておられましたが、ここは問題がありませんでした。1か月後には、建物が建ち始めたことで、お客様が持たれていた不安も解決しました。
このお客様の話は、1年以上前の出来事です。今年の4月からは都市計画法が改正されて、集落内開発制度区域に家を建てることが厳しくなる場合があるようです。これから市街化調整区域を買おうとされている方は、不動産業者や建築会社の方へよく確認をした方が良いと思われます。私たちの方でも、この点は詳しく調べておきます。
次に住宅ローンに関してです。家が建てられる土地であれば、地方銀行や信金等の融資は問題ない場合が多いです。注意しなければいけないのは、ネット銀行やメガバンクを利用されたい場合です。もし、これらの低金利の住宅ローンを利用したい場合は、市街化調整区域ではなく市街化区域で検討された方が良いです。
全国展開する金融機関からすれば、市街化調整区域は価値が小さい土地です。担保評価が無いと考えてますので、仮審査時点でお断りされたり、住宅ローンの借入額を大幅に減らされることもあります。一部、満額融資してくれる金融機関もありますが、条件が厳しくなることだけは覚悟をしておいた方が良いです。
最後に、お客様にとってプラスになることもあると言う点です。熊本市の場合、市街化区域の方へ都市計画税が課税されます。土地と家屋を持っている方へ、固定資産税評価額に対して0.3%課税されます。
年間で3万円~5万円の範囲で収まる金額にはなりますが、このランニングコストが長期間かかることが嫌であれば、市街化調整区域を選ぶことにメリットはあります。ただし、将来的な価値は市街化区域の方が下がりにくいのが一般的です。
今回のお客様は、お子さんが通学の際に危険な目に遭わないというポイントを重視されていました。学校から近く安全、尚且つ家を建てられることが問題ないのであれば、市街化調整区域でも構わないということで決断されました。
低金利の住宅ローンに興味を持たれてましたが、税金のメリットを考えるとプラスマイナス0になりそうでしたので、そこも大きなポイントであったようです。
「市街化調整区域という点が少し不安でしたが、私達にとってはそこは重要ではないことがよく理解出来ました。住宅ローンや税金のことまで考えると土地選びは複雑ですね。」
色々なお客様へ情報提供しているからこそ、わかることがたくさんあります。土地で重要なのは立地や金額であるのが普通ですが、2つの土地で迷ったときに別の要素が入ることで、選択がしやすくなることもあります。
もし、ご自身で悩んで解決しないようでしたら、一度我々にご相談ください。あなたの悩みを解決する、違う切り口があるかも知れません。
数字で考える住宅ローン相談 090ー7921-8898 担当FP 戸田一誠