経営者の住宅ローンの審査は厳しい
当オフィスは熊本で注文住宅の住宅ローン専門のFPオフィスです。開業して今期で15年目になり主に公務員の方のマイホーム購入をしています。
その中でも最近はクレジット会社に17年勤務していた経験でローン審査に関して全国から相談をいただくことが多くなっており今回の相談は経営者の方からでした。
『令和5年4月に会社設立したのですが住宅ローンは通りますか?』とのことでした。まず最初にただでさえ経営者のローンは厳し目に見られています。
その上開業したばかりでまだ1期目の決算も到来していない場合ローンは通るのでしょうか。結果から言えば住宅ローンを通す方法はありますが細心の注意が必要になります。
そこで今回はその細心の注意事項をブログにします。
源泉徴収票も確定申告書もない場合
令和5年4月に開業したと言うことは(現在令和5年10月)まだ源泉徴収票も決算書も確定申告書もなく給料明細書のみ存在しています。
銀行の住宅ローンでは通常は勤務年数1年以上や決算書3期分などの必要書類がないと住宅ローン審査が出来ない場合が多いです。仮に審査をしてくれたとしても厳しい条件がつきます。
厳しい条件とは何か?それは多くの現金を求められたりします。例えば諸費用は全部現金でその上土地代の2割などです。開業して間がない時にこの現金は厳しいものがあります。
こんな時はフラット35が第一候補となります。その理由はフラット35は勤務年数や勤務先を審査ではあまり考慮しないからです。
今回はフラット35で給料明細表から『みなし年収』を出すことで住宅ローンを通します。4月に開業であれば4月分から9月分の給料明細書を確認して給料支給額を計算します。
4月から9月はちょうど6ヶ月なので合計額を6ヶ月で割り算すれば月の給料額が出ますのでそれを12でかけるとみなしの年収が算出できます。
これをベースに返済比率を計算して比率ないであり、そのほかの項目、例えば個人信用情報などに問題がなければ仮審査が通る可能性が出てきます。
開業日に注意をすること
フラット35は勤務年数が1年未満、例えば3ヶ月とかでもみなし年収が返済比率に合えば審査が通る可能性があるのですがここで1つ注意事項があります。
上記の例だと令和5年4月に開業してすぐに役員報酬が出ているケースですが開業後すぐは役員報酬が出ていないケースがあります。開業当初は売り上げが不安定なので役員報酬0などにしている場合です。
やはり開業当時は私もそうでしたが売上なんてどうなるかわからないですからね。ちなみに私のFPとしての初月の売り上げは1万円でした。今考えるとかなり怖いです。
話を戻します。住宅ローンを取扱する上で注意するのは例えば令和4年10月に開業して役員報酬が半年後の令和5年4月から出ているケースです。
同じ令和5年の給料が令和5年4月からなのですが開業日がいつかによってみなし年収の計算方法が変わるので注意が必要です。
先ほどは4月開業で4月から役員報酬が出てましたので4−9月までの給料明細書で計算しましたが令和4年に開業していて令和5年4月から役員報酬では『1月から9月』で計算されるのです。
令和5年1月から3月までの役員報酬は0円とみなされます。1月〇円、2月〇円、3月〇円、4月30万円と言う感じです。
先ほどとの違いは4月から9月までの報酬の合算を6ヶ月で割りましたがこのケースでは9ヶ月(1月−9月)で割ります。同じ4月からの役員報酬でも割り算に月数計算が違うと返済比率が変わります。
返済比率オーバーに注意
例えば月30万円だったとすると最初のケースでは『30万円×6ヶ月÷6ヶ月×12ヶ月』で計算するのでなので年収270万円となります。
ところが開業が令和4年の場合のケースでは『(30万円×6ヶ月)÷9×12ヶ月』で計算するので令和5年開業よりもみなし年収が少なくなり240万円とみなされます。
こうなると住宅ローンの審査で大事な返済比率オーバーで否決や大幅減額になる可能性があると言うわけです。実際に仮審査承認、本審査で否決されたこともあるようです。
最もこのあたりの計算は利用する住宅ローンによっても違う可能性がありますので事前に金融機関に直接お尋ねください。
ただ確実に言えることは経営者の住宅ローンはサラリーマンより審査が厳しいと言うことは知っておいてください。
今回は同じ4月から9月までの給料でのみなし年収の算出でもお客様の開業日によって審査結果が変わると言うことの説明でした。いかがでしたでしょうか。
住宅ローン審査が理解できていないとこういったミスが起こりがちです。マイホーム購入は住宅ローンが通らないと買えないので要注意です。
またどんなに金利が低くてもどんなに団体信用保険が魅力的でもローン審査が通らなければ絵に描いた餅でしかないです。
住宅ローンはお客様の事情によって使う住宅ローンの金融機関が変わってきたりします。この辺りから住宅ローンを選んでください。
もし自分ではわからない場合はご相談ください。
永野FPオフィスの住宅ローン相談 担当FP 永野 修
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