固定のほうがいいって本当ですか?
今のところこの世の中で確定している未来は2つしかない。1つは太陽は東から登って西から沈むこと。もう1つが生まれたら死ぬということだけです。
それ以外をあたかも確定した事実のように語る人がいますがそういうのは全て疑うべきだ。全てのおいてメリットとデメリットの2面が存在するからです。
それは住宅ローンの世界でも同じです。よくいう変動金利と固定金利では金利が低下中の時は固定金利のほうがいいといいますがそれは本当でしょうか。
各商品のメリットとデメリットを考えて住宅ローンを選ぶ必要がありますが今回のテーマは住宅ローンは『固定金利のほうがいいというのは本当か』がテーマです。
最初に答えを言うとそれはお客様が未来の金利をどう考えるかです。お客様の考え方次第では変動金利ほうがいいとなりますしお客様の感じ方によっては長期固定金利がいいです。そう、全てはお客様の状況次第です。
変動金利を勧めている訳でも固定金利はダメとも言わないです。お客様の『感情』と『勘定』に合わせて選べるようにFP相談をしています。
数字で確認してみると
金利の低い変動金利のメリットは月の支払いが固定金利と比較して安いということです。それは金利差が開けば開くほどメリットになります。表にしてみるとすぐにわかります。
これは4000万円で35年支払いを楽天銀行、フラット35S、みずほ銀行の長期固定金利で比較したものです。
楽天銀行と長期固定金利では約2倍の金利差がありますので35年間もし金利が変わらなければ総支払金額は約500万円程度変わることになります。
長期固定金利のメリットは金利が変わらないことです。ということは契約した瞬間に35年間の月の支払額が確定します。ここが最大のメリットになります。
それに対して変動金利のメリットは月の支払い金利が固定金利よりも安いことです。月1万円変われば35年ものなる住宅ローンではそれはそれは大きな違いとなります。
しかしそれは金利が35年間変わらなければこの表通りになるということでこの表が確定しているわけはありません。変動金利のリスクは金利上昇リスクですがそれは避ける方法はないのでしょうか。
固定金利にはリスクはないのでしょうか。それを考えてみます。
住宅ローン支払い中のリスクとは?
マイホームはお客様の人生の中で1番大きな支出です。その中で住宅ローンはお客様がマイホーム代金を支払う上での道具と言えます。道具はあくまでの道具で主役になることはありません。
将来にわたって大きな金額を毎月支払いのですから今のままの状況が35年間続けば間違いなく変動金利を選ぶことでしょう。それでも固定金利がいいという理由とは何か?
住宅ローンを支払っている間に発生する可能性があるリスクから考えてみます。実際にはどんなリスクがあるのでしょうか。思い浮かぶのはこの3つです。
金利上昇 ガン・3大疾病などの病気 老後資金不足
まだ他にもありそうですが大きところではこんなところでしょうか。金利上昇リスクは変動金利を選べば月の支払いが上がることです。固定金利ではないリスクです。
また病気で支払いが困難になるリスクもあります。団体信用保険とがんになったら住宅ローンの支払いなしで今の家に住むことができるものがあります。しかし完全固定金利ではさらに金利が上乗せになります。変動金利には団信としてついているものがあります。
老後資金が不足するリスクもあります。家が収入に対して高過ぎれば教育資金や老後資金に影響することだって考えられます。住宅ローンを支払っていても老後資金の備えは必要ですね。
ではこのリスクを避ける方法はないのでしょうか。もしあれば変動金利で月の支払いが安いほうがいいということになります。
金利上昇リスクを下げる方法
金融ではいつも3つの要素で計算がされます。資金と金利と時間です。それを式にするとこんな感じになります。
住宅ローン支払い=①資金 × ②金利 × ③時間
金利の上昇は経済環境によって避けることはできないです。今のように超が付くような低金利はいつ解消されてもおかしくはないです。ですが今のことを日銀は政策を変更するようなそぶりはありません。
金利の上昇リスクとは月の支払額が上がり家計に影響が出るようになることとするなら緩和する方法が1つあります。それは一部繰上げ返済です。
①を少なくするか、借り換えで金利を下げるか、③の時間を短くするかしか緩和する方法がありません。①と③を満たす方法が一部繰上げ返済になります。
それには手持ちの現金が必要になります。他の2つも現金を持っていれば解決可能です。つまりリスク解消の手立ては『貯蓄』ということになります。
貯蓄をするには
ではこの3つのリスクで生きていれば必ず直面するものはどれでしょうか。それは老後資金リスクです。その間にも病気になるリスクがあります。
それらの経済的リスクを軽減したり避ける方法は現金を貯めるのが1番早いし実践的ではないでしょうか。ここで疑問が起こります。
現金を貯めるのに月の支払いが大きい固定金利で住宅ローンを組むと貯蓄するのを阻害するのではないのだろうか?ということです。
どのタイミングで金利上昇が起こるかわかりません。お客様が金利上昇は早い段階で起こると考えたり、金利が上がると思ったら怖くて、というなら固定金利で決まりです。
しかしお客様が日銀が動く気配がない今論理的に考えるのであればもう少し先と考えるとします。それならその間にお金を溜めておこうというのは悪い考えではないです。
金利上昇リスクを避けるための一部繰上げ返済でも、病気になって住宅ローンを支払うのでも、老後資金でも最大に頼れるのは現金だからです。
そう考えるなら固定金利でマイホームを購入するのはどうでしょうか。ましてや資金の手出しなしで癌などになったら住宅ローンの支払いが終わる団体信用保険があるのが変動金利です。
ただし老後資金や病気などになっても大丈夫なくらい現金を持っていれば固定金利でもいいのでは?となります。
現金のない人が金利上昇したら大変
確かに手持ち現金のない人が変動金利で住宅ローンを組んで金利上昇がきたら支払いが困難になるということを言う人がいます。
でもこれっておかしくないですか?
それなら固定金利の月支払いは少なくもと変動金利よりも高いです。今の支払いはどうするのでしょうか。無理なら買えないはずです。
こう考えると1つの結論として住宅ローンは固定か変動かの選択のポイントは『感情の固定金利』と『勘定の変動金利』となるのではないでしょうか。
しかしこれはお客様の価値観を無視した意見でもあります。実際はお客様とのヒアリングをじっくりした上で決めていくことになります。
だからFPが住宅ローンは固定金利にするべきだと言うのは少なくともおかしいと思うわけです。いかがでしょうか。この辺で終わりにします。
永野FPオフィスの住宅ローン相談 通話無料 0120−929−943 担当FP 永野 修